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「ジュラシック・ワールド」|ついに開園した夢と、失われた安全弁

『ジュラシック・ワールド』(2015年)は、 第1作『ジュラシック・パーク』で果たせなかった「開園」という夢が、ついに実現した世界を描いた作品である。

1993年の第1作では、恐竜テーマパークは開園前の試験段階で事故が発生し、 一般客を迎えることなく崩壊した。

本作は、その「もしも」を現実にした物語だ。

  • 技術は成熟し
  • 管理体制も整い
  • 恐竜は完全に制御されているように見える

人類はついに、恐竜を娯楽として成立させたのである。


『ジュラシック』シリーズ
 全体目次(総括⇒第1回〜最終章)


目次(上)

作品データ・基本情報

項目内容
公開年2015年
監督コリン・トレヴォロウ
主演クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード
舞台イスラ・ヌブラル島
シリーズワールド三部作・第1作

あらすじ

イスラ・ヌブラル島では、恐竜テーマパーク 「ジュラシック・ワールド」が正式に開園していた。

恐竜は檻の中で安全に管理され、 観光客はショーやアトラクションを楽しみ、 パークは世界的な成功を収めている。

しかし、来場者の関心は次第に薄れていく。

そこで運営側は、 「より刺激的な存在」を求め、 遺伝子操作による新種恐竜を生み出してしまう。

その選択が、すべての崩壊の引き金となる。

サイトBは復活しているのか?

―『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』との関係―

『ジュラシック・ワールド』には研究施設が登場するため、 「サイトBが復活しているのでは?」と感じる人もいるだろう。

ここでまず、サイトBとは何だったのかを簡単に整理しておきたい。

サイトBとは何か?

―第2作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』の舞台―

サイトBとは、 第2作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997年)で本格的に描かれた島である。

  • 正式名称:イスラ・ソルナ
  • 恐竜の繁殖・成長・研究を行う専用施設
  • 一般客は立ち入り禁止
  • テーマパークの「裏側」を担う存在

第1作のイスラ・ヌブラル島が 「見せるための島」だったのに対し、 サイトBは 恐竜を育て、管理し、危険を隔離するための島 という役割を持っていた。

『ジュラシック・ワールド』でサイトBは復活しているのか?

結論から言うと、 サイトB(イスラ・ソルナ)そのものは復活していない。

しかし重要なのは、 サイトBが担っていた役割が、イスラ・ヌブラル島に統合されている という点である。

研究施設が意味するもの

『ジュラシック・ワールド』に登場する研究所では、

  • 恐竜の遺伝子操作
  • 行動研究
  • 新種恐竜の開発

が行われている。

内容だけを見れば、 これは『ロスト・ワールド』で描かれた サイトBの研究内容とほぼ同じだ。

だが、決定的な違いがある。

サイトB時代との決定的な違い

サイトB(第2作)ジュラシック・ワールド
裏方の研究島観光地の中心
危険な研究は隔離危険でも利益優先
研究目的商品開発目的

かつては 「危険なことは裏でやる」 という最低限の理性が存在していた。

しかし『ジュラシック・ワールド』の世界では、 その区別が完全に消えている。

★補足コラム:サイトB(イスラ・ソルナ)の「その後」

設定上、イスラ・ソルナは 法的に保護された立ち入り禁止区域となり、 人の手がほとんど入らないまま放置された。

しかし、そこでは生態系のバランスが崩れ、 恐竜の個体数は激減していったとされている。

一部の恐竜は、 『ジュラシック・ワールド』開園にあたり イスラ・ヌブラル島へ移送されたという設定もある。

なお、今作に登場するT-レックス 通称「レクシィ」は、 第1作で暴れ回ったあの個体そのものだ。

新主人公オーウェン・グレイディ

主人公オーウェンは、 恐竜を「支配」ではなく「理解」しようとする人物だ。

ヴェロキラプトルとの関係は象徴的で、

  • 完全な服従ではない
  • 信頼関係による共存

という、新しい恐竜との向き合い方を示している。

★補足コラム:「安全弁」を象徴する二人

『ジュラシック・ワールド』では、 管理責任者クレアと、現場のオーウェンが 対照的に描かれている。

クレアは恐竜を 「資産(Asset)」として捉え、 数字や効率を重視する。

一方オーウェンは、 恐竜を血の通った「生き物」として扱う。

かつてサイトBが担っていた 荒々しい現場感覚は、 すでに経営の現場から切り離されていた。

★補足コラム:映像に残された「過去の影」

劇中、兄弟が迷い込む 旧ビジターセンターは、 第1作『ジュラシック・パーク』の舞台そのものだ。

最新鋭のテーマパークの裏側に、 22年前の崩壊の痕跡が そのまま残されている。

この対比は、 単なるファンサービスではない。

歴史は、忘れた頃に繰り返される

という、不穏な予兆として機能している。

まとめ|なぜ崩壊は避けられなかったのか

『ジュラシック・ワールド』は、

  • 開園に成功した世界
  • 技術的には完成したシステム
  • それでも崩壊する現実

を描いた作品だ。

原因は恐竜ではない。 「もう安全だ」と思い込んだ人間自身である。

島は隔離できても、 人間の野心は隔離できなかった。

それこそが、 『ジュラシック・ワールド』が描いた最大の警告だ。

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