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【インテル】第7章:AppleのCPUの旅とIntel離脱の伏線(1984〜2020)

Appleは40年にわたり、「自分たちの理想を実現するためにCPUを選び続けた会社」でした。 そして2020年、その旅は一つの到達点を迎えます。

インテルとの蜜月時代の終焉、そして「Appleシリコン」への移行。

本章では、Macが歩んだ波乱万丈なCPUの歴史を辿ります。

  • MotorolaからPowerPCへ:初期のMacを支えた「反逆の精神」
  • 衝撃のIntel移行(2005年):ジョブズが下した、かつての敵との「禁断の提携」
  • M1チップの革命:なぜAppleはインテルと別れ、自社製チップを選んだのか
  • iPhoneが変えたPCの未来:モバイル技術がいかにしてデスクトップを凌駕したか

「効率」と「性能」の極限を求めた結果、Appleが導き出した答えとは。 パソコンの常識を塗り替えた、Appleとインテルの「別れの物語」を紐解きます。

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AppleのCPUの旅は“反骨”と“最適化”の歴史だった

Appleは40年にわたり、 「自分たちの理想を実現するためにCPUを選び続けた会社」 だった。

  • 68k(Motorola)
  • PowerPC(IBM・Motorola・Apple)
  • Intel(2006〜2020)
  • Apple Silicon(2020〜)

この旅は、Intelの栄光と失速、そしてAppleの独立を理解するための重要な伏線となる。

68k時代(1984〜1994)──Macintoshを支えたMotorolaの名CPU

1984年、初代Macintoshは Motorola 68000(68k) を採用した。

  • CISCアーキテクチャ
  • 高い表現力
  • グラフィック処理に強い
  • 当時のIBM PC(8088)より圧倒的に洗練された設計

Appleは 「美しいGUIを動かすには68kが最適」 と判断した。

しかし、時代はRISCへ向かい始める。

PowerPC時代(1994〜2005)──“Intelに負けないCPUを作る”という夢

1994年、AppleはIBM・Motorolaと共同で PowerPCアーキテクチャ を立ち上げる。

  • RISCベース
  • 高効率
  • 当時のPentiumより高性能
  • Macの差別化ポイントとして機能

さらにAppleは、 「Fat Binary(ファットバイナリ)」 という仕組みで 68kとPowerPCの両方で動くアプリを実現し、 “移行のプロ”としての技術力を見せつけた。

しかし、PowerPCには致命的な問題があった。

  • ノート向け低消費電力版が作れない
  • 発熱が高い
  • IBMの開発速度が遅い
  • ソフトウェア互換性が弱い

そして決定的だったのは、

PowerPC G5はノートPCに載せられない。

Appleは未来を失い始めていた。

2005年──ジョブズが語った「Performance per Watt」

2005年のWWDC。 スティーブ・ジョブズは壇上でこう語った。

「PowerPCはワットあたり性能(Performance per Watt)でIntelに勝てない。」

これは単なる技術比較ではなく、 Appleが未来を選ぶための宣言 だった。

そしてこの言葉は、 15年後にAppleがIntelを捨てる理由と完全に一致する。

「ワットパフォーマンスでIntelに勝てない」 → 「ワットパフォーマンスでIntelを捨てる」

歴史は美しいリフレインを描く。

Intel移行(2006)──Appleが“生き残るため”に選んだ決断

2006年、Appleはついに PowerPCを捨て、Intelへ移行する と発表する。

理由は明確だった。

  • IntelのCoreアーキテクチャが圧倒的に高性能
  • 省電力化が進んでいた
  • ノートPC時代に最適
  • Windowsとの互換性が得られる(Boot Camp)

特に Boot Camp は革命的だった。

  • MacでWindowsが動く
  • 日本の大学生・ビジネス層でMac普及が加速
  • 日本市場の“世界標準化”の流れとも一致

Intel移行はApple史上最大の成功のひとつとなった。

しかし、この成功が 後の“Intel離脱”の伏線 になる。

iPhoneの登場(2007)──Appleが“自前のCPU”を作り始める

2007年、iPhoneが登場。 Appleは ARMベースの独自SoC(Aシリーズ) を開発し始める。

  • A4(2010)
  • A6(2012)
  • A7(2013:世界初のスマホ向け64bit)
  • A10 Fusion(2016)
  • A12 Bionic(2018)

特に A7の64bit化 は世界を震撼させた。

  • Intelはまだスマホ向け64bitを持っていなかった
  • Qualcommは「64bitはマーケティングだ」と発言して後に撤回
  • 世界中の半導体メーカーがAppleの先行に驚愕

「スマホが64bit?Intelより先に?」

AppleはモバイルCPUでIntelを追い抜き始めていた。

Intelの10nm迷走(2015〜2020)──Appleの不満が爆発する

この頃、Intelは深刻な問題に直面する。

  • 10nmプロセスが5年以上遅延
  • Skylake世代で品質問題(スリープ復帰バグなど)
  • 発熱と消費電力が改善しない
  • モバイル向けCPUの革新が止まる

一方Appleは、TSMCと共に 7nm → 5nm と順調に微細化を進めていた。

  • A12(7nm)
  • A14(5nm)

製造技術は完全に逆転していた。

Skylake品質問題(2015〜2016)──決定的な亀裂

Appleの幹部(ジョニー・スルージー)は後にこう語っている。

「Skylakeは品質問題が多すぎた。 AppleのエンジニアがIntelより多くのバグを見つけていた。」

これはAppleにとって決定的だった。

  • Intelの品質低下
  • AppleのAシリーズの急成長
  • 10nm遅延
  • モバイル時代への適応不足

Appleはついに決断する。

AppleがIntel離脱を決断(2017〜2020)──未来を他社に握られたくない

Appleは2017年頃から “Macを自社CPUへ移行する” 計画を本格化させる。

理由は明確だった。

  • Intelの遅れにMacの未来を預けられない
  • AシリーズがIntelを超えた
  • ARMアーキテクチャの省電力性
  • iPhone/iPadとの統合が可能
  • Appleがハードとソフトを完全に最適化できる

そして2020年、 Appleはついに Apple Silicon(M1) を発表する。

「MacはIntelを離れ、Apple独自のCPUへ移行する。」

これはPC史における最大級の地殻変動だった。

AppleのCPUの旅は、Intelの未来を映す鏡だった

  • 68k:GUI時代の象徴
  • PowerPC:Intelに対抗する夢
  • Intel:ノートPC時代の最適解
  • Aシリーズ:モバイル時代の勝者
  • Apple Silicon:PCの未来を自分で作る決断

AppleのCPUの旅は、 Intelの栄光・停滞・そして失われた未来 を映し出している。

そしてこの旅は、 次章の 「Intelが逃した3つの巨大市場」 へとつながる。

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