
危険物取扱者乙種を、 いずれは すべて取得したい と考えている人もいれば、 「まずは1類だけ」「必要な類から取りたい」と考えている人もいるはずです。
乙種は第1類から第6類まであり、 制度上は どの類から受験しても問題はありません。 しかし、複数類の取得や全類取得を視野に入れると、 最初の1類の選び方が、その後の進めやすさを大きく左右します。
特に重要になるのが、
- 科目免除の仕組み
- 免状が必要になるタイミング
- 併願受験の扱い
といった、実務上のルールです。
この記事では、 乙種を全部狙う人はもちろん、 どれから取るか迷っている人に向けて、 「最初の1類をどう考えるべきか」 を整理していきます。
乙種はどの類から取っても制度上は同じ
危険物取扱者乙種は、第1類から第6類までに分かれていますが、 どの類から受験しても、資格としての効力に違いはありません。
合格基準はすべて同じで、 それぞれの類ごとに定められた危険物を取り扱えるようになります。 「先に取った類のほうが有利になる」 「後から取ると不利になる」 といった制度上の差は存在しません。
この点だけを見ると、 「どれから取っても同じ」と感じるのは自然なことです。
1類だけ取るなら、確かに大きな差は出にくい
もし、
- 特定の業務で必要な1類だけを取得したい
- とりあえず乙種を1つ持っておきたい
という目的であれば、 どの類から始めても致命的な失敗になることはほとんどありません。
そのため、 「自分の職場で必要な類」 「興味のある類」 から選ぶのも、1つの考え方です。
複数類・全類を視野に入れると話が変わる
一方で、 複数類の取得や、将来的に全類取得を考えている場合は、 単純に「どれからでもいい」とは言えなくなります。
理由は、 乙種には 科目免除制度 があり、 これが取得順やスケジュールに大きく影響するためです。
- 最初の1類は試験範囲が広い
- 2類目以降は条件次第で試験範囲が狭くなる
この構造を理解しているかどうかで、 勉強量や負担の感じ方が大きく変わります。
「制度上は同じ」と「進めやすさ」は別の話
乙種は、 制度上はどの類から取っても平等です。 しかし実際には、
- 勉強内容の重なり方
- 免除制度の使いやすさ
- 次の類へ進むときの負担
といった点で、 最初に選ぶ類によって進めやすさに差が出ます。
特に、 乙種を全部狙う人や、 できるだけ効率よく取得したい人ほど、 この差を無視できなくなります。
科目免除は「合格」ではなく「免状」が基準
乙種を複数取得しようとすると、 多くの人が期待するのが 科目免除制度 です。
一度どれかの類に合格すれば、 次からは法令や基礎科目が免除され、 試験の負担が軽くなる―― そう考えるのは自然なことです。
しかし、実務上は 「合格した」だけでは免除は使えない という点に注意が必要です。
科目免除を受けるために必要なのは「免状」
科目免除を受けるためには、 免状(カード)が手元に届いている状態であることが条件になります。
消防試験研究センターの規定では、 免除を申請する際に 「既得免状のコピーを願書に添付すること」 が求められています。
- 合格発表直後
- 合格通知書(ハガキ)は届く
- しかし、これは免状ではない
つまり、 免除の基準は「合格」ではなく「免状」 です。
免状交付申請はどこで行うのか
免状交付申請は、 試験を受験した都道府県の消防試験研究センター支部 に対して行います。
- 原則
- 受験した都道府県の当センター支部
- 東京都で受験した場合
- 消防試験研究センター 中央試験センター
居住地ではなく、 「試験を受けた場所」基準で申請先が決まる点は、 意外と見落とされがちです。
免状交付申請にも時間がかかる
免状は、合格すれば自動的に届くものではありません。 合格後に、次の手続きを行う必要があります。
- 免状交付申請
- 受験した都道府県の消防試験研究センター支部へ提出
- 手数料を支払って申請
- 約3〜4週間後に免状が郵送される
このため、
最初の合格から免状が手元に届くまでの期間に実施される試験では、科目免除を使うことができません。
合格を確認した直後に、 次の試験の願書を 「免除あり」で提出することは、 書類上できない仕組みになっています。
不合格になると、免除までの道のりが延びる
さらに注意したいのが、 最初の受験で不合格だった場合です。
免状がなければ免除は使えないため、 不合格になると、
- 再受験
- 再度の合格発表待ち
- 免状交付申請
- 免状到着までの待機
と、同じ時間をもう一度かけることになります。
つまり、 最初の受験でつまずくと、 免除を使えるようになるまでのスケジュールが 大きく後ろ倒しになってしまいます。
最初の受験は「確実に免状を取る」ことが最優先
この仕組みを踏まえると、 乙種を全部狙う人や、 複数類の取得を考えている人にとって重要なのは、
最初の受験で確実に合格し、免状まで取得することです。
- 難易度だけで類を選ばない
- 勉強時間を確保できる類を選ぶ
- 一発合格を狙える準備をする
こうした考え方が、 結果的に 免除を使える状態へ最短で到達する ことにつながります。
併願受験は免状の有無が決め手
前章では、科目免除は「合格」ではなく「免状」を基準に判断されること、 そして免状の取得には申請と一定の時間が必要になることを整理しました。
この前提を踏まえたうえで理解しておきたいのが、併願受験の考え方です。 併願受験は制度上の特別な仕組みではありませんが、 免状の有無で、併願受験の勉強効率は大きく変わります。
併願受験とは何か
併願受験とは、 同一試験日・同一会場で、複数の類を受験することを指します。
例えば、次のような受験形態です。
- 午前に乙種第4類(乙4)を受験
- 午後に乙種第6類(乙6)を受験
このように時間帯を分けて受験しますが、 乙4と乙6はそれぞれ完全に独立した試験として扱われます。
併願受験とは、 通常の受験を1日に複数回行うのと同じ内容です。
各類は独立して出題・採点される
併願受験であっても、
- 法令
- 基礎的な物理学・化学
- 性質・消火
は、類ごとにすべて出題・採点されます。
ある類で法令が合格点だったとしても、 別の類の法令が自動的に合格扱いになることはありません。
併願だからといって、 内部的に免除が適用される仕組みは存在しません。
免状がある場合の併願受験
すでに免状を持っている場合は、 その免状で科目免除を受けることができます。 免除は、願書提出時に申請することで適用されます。
免除の対象となるのは、
- 法令
- 基礎的な物理学・化学
です。
例えば、
- すでに乙4の免状を持っている人が乙6を受験する場合
- 乙6の免状を持っている人が、乙4と乙3を併願受験する場合
いずれも、免除される科目については勉強する必要がなく、 性質・消火のみに集中して受験勉強を進めることができます。
このように免状がある場合は、
- 勉強範囲を大きく絞れる
- 併願でも負担が増えにくい
- 効率よく資格取得を狙いやすい
という明確なメリットがあります。
免状がない場合の併願受験
一方、免状を持っていない状態で併願受験をすると、 勉強効率は大きく下がります。
各類は完全に独立した試験のため、
- 法令
- 基礎的な物理学・化学
- 性質・消火
を、それぞれの類ごとに対策する必要があります。
例えば、
- 免状を持たずに乙4と乙6を併願した場合 乙4も乙6も、すべての科目を勉強し、受験する必要があります。
- 免状を持たずに乙4と乙3を併願した場合 乙4も乙3も、すべての科目を勉強し、受験する必要があります。
併願であっても、 免除は一切適用されません。
併願受験は免状の有無を前提に考える
併願受験は、 免除の近道でも、特別な裏技でもありません。
- 免状がある場合
- 勉強範囲を絞った効率的な併願が可能
- 免状がない場合
- 通常の受験を複数回分まとめて受験勉強する必要がある
この違いを理解せずに併願を選ぶと、 かえって遠回りになる可能性があります。
免状交付申請の流れと現実的なスケジュール
ここまでで、 科目免除は「合格」ではなく「免状」が基準であること、 そして併願受験の勉強効率は免状の有無で大きく変わることを整理しました。
この章では、 合格後に何が送られてきて、免状が手元に届くまでにどれくらい時間がかかるのかを確認します。
合格すると何が送られてくるのか
危険物取扱者試験に合格すると、 後日、郵送で 試験結果通知書 が届きます。
この通知書は、単なる合否のお知らせではなく、
- 合否結果
- 受験番号
- 免状交付申請に必要な書類
を兼ねた、免状交付申請のための重要な書類です。
この書類を使って免状交付申請を行うため、 切り離したり紛失したりしないよう注意が必要です。
免状交付申請はどこに行うのか
免状交付申請は、 受験した都道府県を管轄する消防試験研究センター支部に行います。
住所地ではなく、 「受験地」が基準になります。
申請方法は、窓口への持参または郵送ですが、 どちらが可能かは都道府県ごとに異なります。 近年は郵送のみ対応としている支部も多いため、 必ず受験地の案内に従って申請する必要があります。
免状が届くまでの期間
免状交付申請を行ってから、 実際に免状が手元に届くまでには、 数週間程度かかるのが一般的です。
試験日や申請時期によっては、 さらに時間がかかることもあります。
つまり、
- 合格した
- 免状交付申請を行った
この段階では、 まだ免状を持っている状態ではありません。
免状が届くまでは免除は使えない
免状が手元に届く前の状態では、 科目免除は適用されません。
免状が手元にないまま受験申請を行うと、 免状を持っていないものとして扱われるため、 科目免除は適用されず、全科目を受験する前提で申し込むことになります。
免除が使えるのは、 免状を正式に取得した後です。
申請締め切りとの関係で起こりやすい勘違い
試験日程を見るとき、 つい試験日ばかりに目が向きがちですが、 実際に重要なのは 受験申請の締め切り日 です。
場合によっては、
免状が届く前に、次の受験申請締め切り日を迎えてしまう
ことがあります。
このタイミングで申請すると、 免除を前提とした受験はできず、 想定よりも勉強負担が大きくなることがあります。
免状交付のタイミングを意識する
併願受験や次の受験を考える際は、
- 合格したかどうか
- 免状交付申請をしたかどうか
ではなく、
免状が手元にあるかどうか
を基準に判断することが重要です。
免状交付のタイミングを正しく把握しておくことで、 無理のない受験計画を立てやすくなります。
最初の受験は「確実に免状を取れる類」を選ぶ
ここまでの章で、 乙種はどの類から取っても制度上は同じであること、 そして科目免除や併願受験は「免状の有無」が基準になることを整理してきました。
これらを踏まえると、 最初の受験に求められる役割がはっきりしてきます。
最初の受験は免除を使えない
最初に受験する乙種では、 当然ながら免状をまだ持っていません。
そのため、
- 法令
- 基礎的な物理学・化学
- 性質・消火
すべての科目を受験する必要があります。
この段階では、 「どの類が楽か」「どの類が免除しやすいか」 といった比較は、ほとんど意味を持ちません。
重要なのは「一発で免状まで取れるか」
最初の受験で最も重要なのは、 確実に合格し、免状まで取得できるかどうかです。
最初の受験でつまずくと、
- 再受験が必要になる
- 免状取得が遅れる
- 免除を使える時期が後ろ倒しになる
といった形で、 その後の計画全体に影響が出ます。
そのため、最初の受験は、
- 勉強時間を確保しやすい
- 内容に抵抗が少ない
- 一発合格を狙いやすい
と感じる類を選ぶことが、結果的に最短ルートになります。
難易度だけで類を選ばなくてよい
「乙4は簡単」「この類は難しい」 といった話を目にすることもありますが、 最初の受験に限って言えば、 難易度の差は決定的ではありません。
それよりも、
- 自分の業務で使う類
- 興味を持って勉強できる類
- 参考書を読み進めやすい類
といった要素のほうが、 合格率に直結します。
最初は単願で十分
免状がない段階では、 併願受験をしても免除は使えません。
そのため、最初の受験は、
- 単願で1類に集中する
- 確実に免状を取得する
という考え方が、 結果的に一番「楽」になります。
最初の受験はスタート地点
最初の1類は、 「どれを取るか」よりも 「確実に免状を取ること」が目的です。
ここで免状を取得できれば、 次の類からは免除や併願を活かした、 効率的な進め方が選べるようになります。
次の章では、 免状取得後に、どのように単願や併願を組み合わせていくと楽になるのかを、 具体的に整理していきます。
免状取得後は「性質・消火が近い類」から進める
前章では、 最初の受験では「どの類が楽か」ではなく、 確実に免状を取得できる類を選ぶことが最優先であることを整理しました。
免状を1つ取得できたら、 ここからは考え方を切り替えて、 どう進めると楽になるかを考えていきます。
免状を取得すると勉強の前提が変わる
乙種の免状を1つ取得すると、 次の受験からは 科目免除 を使える状態になります。
免除されるのは、
- 法令
- 基礎的な物理学・化学
です。
その結果、 2類目以降の受験では、 勉強の中心は「性質・消火」だけになります。
ここで初めて、 「どの類をどういう順番で取ると楽か」 という考え方が意味を持つようになります。
2類目以降は「内容の近さ」を意識する
免状取得後は、 各類の違いはほぼ 性質・消火の内容 に集約されます。
そのため、 次にどの類を受けるかを考える際は、
- 性質の考え方が似ている
- 消火方法や危険性の整理が重なる
といった 内容の近さ を意識すると、 勉強の負担を抑えやすくなります。
内容が近い類の具体例
ここでは、 比較的考え方が近く、続けて取りやすい例を挙げます。
- 乙4類 → 乙6類 引火性液体と可燃性液体が中心で、 燃焼の考え方や消火方法に共通点が多くあります。
- 乙2類 → 乙3類 可燃性ガスと自然発火性物質が中心で、 反応性や燃焼特性の理解が重なりやすい組み合わせです。
- 乙5類 → 乙6類 自己反応性物質と可燃性固体が中心で、 熱分解や燃焼挙動の考え方が共通しています。
このように、 性質・消火の考え方が近い類を続けて受験することで、 新しく覚える量を抑えやすくなります。
単願と併願を選べる段階に入る
免状を取得した後は、
- 単願で1類ずつ進める
- 併願でまとめて受験する
どちらも選択できる状態になります。
併願が有効になるのは、
- 免除が使える
- 性質・消火の対策量を把握できている
という条件がそろったときです。
逆に、 内容が重いと感じる場合は、 無理に併願する必要はありません。
「楽に進める」ことを基準にする
免状取得後の受験では、 「早く取る」よりも 「楽に続けられるか」 を基準に考える方が、 結果的に失敗しにくくなります。
- 勉強量を抑えられるか
- 理解しながら進められるか
- 次の類につなげやすいか
この視点で順番を考えることが、 乙種を複数、あるいは全類取得するうえでのコツです。
単願と併願を組み合わせた、楽になりやすい取得順の例
前章では、 免状を取得した後は「性質・消火の内容が近い類」から進めることで、 勉強の負担を抑えやすくなることを整理しました。
この章では、 その考え方を踏まえたうえで、 単願と併願をどう組み合わせると楽になりやすいかを、 具体的な例を使って見ていきます。
基本の考え方
前提として押さえておきたいのは、次の点です。
- 最初の1類は単願で免状を取得する
- 免状取得後に併願を検討する
- 併願は「性質・消火の負担が読める場合」に使う
この前提を守るだけで、 無理なスケジュールになりにくくなります。
例1|乙4類を最初に取得した場合
乙4類は、 業務で必要になることが多く、 最初の1類として選ばれやすい類です。
この場合の進め方の一例は、次のようになります。
- 1回目:乙4類(単願)
- 2回目:乙6類+乙3類(併願)
- 3回目:乙2類、乙5類(単願または併願)
乙4類の免状を取得していれば、 2回目以降は法令と基礎的な物理学・化学が免除されます。
乙6類や乙3類は、 燃焼や反応性の考え方に共通点があり、 性質・消火の対策をまとめやすい組み合わせです。
例2|業務で必要な類から始めた場合
最初に取得する類が乙4類とは限りません。
例えば、
- 1回目:業務で必要な乙2類(単願)
- 2回目:乙3類(単願または併願)
- 3回目:乙4類+乙6類(併願)
という進め方も考えられます。
この場合も、 免状取得後は性質・消火だけに集中できるため、 内容が近い乙2類と乙3類を続けて受験することで、 理解を積み重ねやすくなります。
併願は「まとめられるときだけ」でよい
併願は便利な手段ですが、 必ず使わなければならないものではありません。
- 性質・消火の暗記量が多い
- 試験当日の集中力に不安がある
- 勉強時間を十分に取れない
こうした場合は、 無理に併願せず、単願で進めた方が結果的に楽になることもあります。
併願は、 負担を減らせると判断できたときに使う選択肢 と考えるのが適切です。
順番に「正解」はない
ここで挙げた順番は、 あくまで一例にすぎません。
重要なのは、
- 免状を取得しているか
- 今回の勉強量はどれくらいか
- 性質・消火の内容を把握できているか
といった条件を踏まえて、 自分にとって無理のない組み合わせを選ぶことです。
あえて併願しない方が楽になるケース
前章では、 免状取得後に単願と併願を組み合わせることで、 比較的楽に取得を進められる例を紹介しました。
ただし、 併願は常に正解というわけではありません。 状況によっては、 あえて併願しない方が結果的に楽になるケースもあります。
併願は「負担を減らせるとき」に使うもの
併願受験は、 免除を使える状態であれば有効な手段ですが、 次のような場合は注意が必要です。
- 性質・消火の暗記量が多い
- 内容の方向性が大きく異なる
- 試験当日の集中力に不安がある
このような条件が重なると、 併願によって勉強量や当日の負担が一気に増えることがあります。
性質・消火が重い類は単願の方が楽
乙種の中には、 性質・消火の内容が比較的重く、 覚える事項が多い類もあります。
こうした類を併願すると、
- 勉強範囲が広がりすぎる
- どちらも中途半端になりやすい
- 試験当日に疲れが出やすい
といったリスクが高まります。
この場合は、 単願で1類に集中した方が、結果的に楽になることが少なくありません。
試験当日の負担も考慮する
併願受験では、 同じ日に複数の試験を受けることになります。
- 試験時間が長くなる
- 集中力を維持する必要がある
- 後半の試験でミスが増えやすい
特に、 性質・消火の理解に時間がかかる類を併願すると、 後半の試験で力を出し切れないこともあります。
単願でも不利になることはない
併願をしないからといって、 制度上の不利が生じることはありません。
- 免除はそのまま使える
- 合格すれば免状は確実に増える
- 次の受験につなげやすい
無理に併願を選ばず、 自分のペースで単願を積み重ねることも、 十分に合理的な選択です。
併願は「選択肢の一つ」と考える
併願受験は、 使えるときに使えば便利な手段ですが、 必須ではありません。
- 勉強量を抑えられるか
- 試験当日の負担は許容範囲か
- 今回は余裕を持って受験できるか
これらを踏まえて、 併願するかどうかを毎回判断することが、 長く続けるうえでのコツになります。
乙種を全類取得したい人のための考え方
前章では、 併願が必ずしも最適とは限らず、 あえて単願を選んだ方が楽になるケースがあることを整理しました。
この章では、 乙種をいずれは全類取得したいと考えている人に向けて、 長期的な視点での進め方をまとめます。
全類取得は「短距離走」ではない
乙種は第1類から第6類まであり、 全類取得を目指す場合、 どうしても数回の受験が必要になります。
そのため、 最初から
- 一気に全部取ろうとする
- 最短回数だけを意識する
といった考え方をすると、 途中で負担が大きくなりやすくなります。
全類取得は、 短距離走ではなく、計画的に進める中距離走 と考える方が現実的です。
免状を軸に段階的に進める
全類取得を目指す場合でも、 基本の考え方はこれまでと変わりません。
- 最初は単願で確実に免状を取得する
- 免状取得後に免除を活かす
- 内容が近い類をまとめて考える
この流れを繰り返すことで、 無理なく類を増やしていくことができます。
「今は何類目か」ではなく、 「今は免状を持っている状態か」 を基準に考えることが重要です。
一度に進めすぎない
全類取得を目指していると、 ついペースを上げたくなることがあります。
しかし、
- 勉強時間が確保できない
- 内容の理解が追いつかない
- 試験が負担に感じ始める
と感じた場合は、 一度ペースを落とす判断も必要です。
単願で1類ずつ確実に積み重ねても、 最終的に不利になることはありません。
「続けられる順番」が最終的に一番楽
全類取得において最も重要なのは、 途中で止まらずに続けられることです。
- 勉強量が過剰にならない
- 理解しながら進められる
- 次の受験に前向きになれる
こうした状態を保てる順番こそが、 自分にとって一番楽な取得順になります。
全類取得は結果としてついてくる
乙種を全類取得すること自体が目的になると、 途中で苦しくなりがちです。
- まずは1類
- 次にもう1類
- 気づいたら残りが少なくなっている
このくらいの感覚で進めた方が、 結果的に全類取得に近づきやすくなります。
取得順に正解はない。判断の軸を整理する
ここまでの記事では、 乙種をどう進めると楽になるかという視点で、
- 最初は確実に免状を取得する
- 免状取得後は性質・消火の近さを意識する
- 単願と併願を無理なく使い分ける
といった考え方を整理してきました。
この章では、 「この順番が一番おすすめ」と結論づけるのではなく、 自分で取得順を判断できる状態になることを目的に、考え方をまとめます。
取得順に絶対的な正解は存在しない
乙種の取得順には、
- 制度上、先に取った方が有利になる類
- 後回しにすると不利になる類
といった 明確な正解はありません。
どの類から取っても、 免状としての効力は同じであり、 制度上の扱いに差はありません。
そのため、 「この順番で取らないと損をする」 という考え方に縛られる必要はありません。
判断の出発点は「今の自分の状態」
取得順を考えるときに重要なのは、 次のような 今の状態 です。
- 今、乙種の免状を持っているか
- 今回、どれくらい勉強時間を確保できるか
- 性質・消火の内容を無理なく理解できそうか
免状がない段階と、 免状を取得した後とでは、 選べる選択肢が大きく変わります。
ゴールによって考え方は変わる
もう一つ重要なのが、 どこまで取得したいのか というゴールです。
- まずは1類だけ取れれば十分
- 必要な類をいくつか取りたい
- いずれは乙種を全類取得したい
このゴールの違いによって、 取得順の考え方も自然と変わります。
全類取得を視野に入れる場合は、 「今が楽か」だけでなく、 長く続けられるか という視点も重要になります。
「楽に続けられるか」を最優先にする
乙種を複数、あるいは全類取得する場合、 一番の遠回りは、途中で止まってしまうことです。
- 勉強が苦しくなりすぎない
- 理解しながら進められる
- 次の受験に前向きになれる
この状態を保てる順番こそが、 自分にとって一番良い取得順になります。
次章につながる視点
ここまでの記事では、 「どう取ると楽か」「どう進めると失敗しにくいか」 という視点で整理してきました。
では、 乙種を全類取得すること自体に、どんな意味があるのか。
- 仕事上で役に立つのか
- 就職や評価に影響するのか
- 本当に取る価値があるのか
次の章では、 乙種を全類取得した場合の、仕事や就職におけるメリットと現実について、 もう一段踏み込んで整理していきます。
乙種を全類取得すると、仕事や就職でメリットはあるのか
前章では、 乙種の取得順に絶対的な正解はなく、 自分の状況やゴールに合わせて判断することが重要だと整理しました。
この章では、 そのゴールの一つとして挙げられる 「乙種を全類取得することに、実際どんな意味があるのか」 を、仕事や就職の視点から整理します。
制度上の特別な優遇はない
まず、はっきりさせておきたい点があります。
乙種第1類から第6類をすべて取得しても、
- 新しい免除が増える
- 上位資格として扱われる
- 甲種と同等になる
といった 制度上の特別な優遇はありません。
全類取得しても、 資格区分はあくまで「乙種」のままです。
この点を知らずに 「全類取れば何か特別扱いされるはず」 と期待すると、ギャップを感じることがあります。
実務面での一番大きなメリット
制度上の変化はありませんが、 実務面では明確なメリットがあります。
それは、 取り扱える危険物の範囲が最大になることです。
乙種は、 取得した類の危険物しか取り扱えません。
全類を取得していれば、
- 現場で扱う危険物の種類が変わっても対応できる
- 配置換えや業務変更に柔軟に対応できる
- 複数の危険物を扱う職場でも資格の追加取得が不要
といった強みになります。
職場での評価や安心感につながることもある
全類取得は、
- 危険物の分類を一通り理解している
- 性質・消火を横断的に学んでいる
という証明にもなります。
そのため職場によっては、
- 危険物担当者として任せやすい
- 教育係や引き継ぎ役を任されやすい
- 「この人に聞けば大丈夫」という安心感がある
といった 信頼面の評価 につながることもあります。
ただし、 これは業界や職場の文化による差が大きく、 必ず評価が上がるとは限りません。
就職・転職での見え方
就職や転職の場面では、 乙種全類取得が 直接的な採用条件 になるケースは多くありません。
しかし、
- 危険物を幅広く扱う可能性がある職場
- 将来的な業務拡大を見込んでいる企業
では、
「必要になったら追加で取らせなくていい」 「基礎知識が一通りある」
という点が、 プラス評価として見られることはあります。
知識面でのメリットは確実にある
全類取得を目指す過程では、
- 危険物の全体像
- 類ごとの違いと共通点
- 消火方法の考え方
を横断的に学ぶことになります。
その結果、
- 危険物を体系的に理解できる
- 現場での判断がしやすくなる
- 単なる暗記ではなく「理由」が分かる
といった 知識面のメリット は確実に得られます。
全類取得が向いている人・向いていない人
全類取得が向いているのは、次のような人です。
- 危険物を扱う業務に長く関わる予定がある
- 担当範囲が将来広がる可能性がある
- 知識を体系的に身につけたい
- 資格取得そのものがモチベーションになる
一方で、
- 特定の類しか使わない
- 業務上それ以上必要ない
という場合は、 無理に全類を目指す必要はありません。
全類取得は「目的」ではなく「結果」
乙種全類取得は、 取らなければ損をする資格ではありません。
しかし、
- 必要な類を一つずつ取っていった結果
- 気づいたら残りが少なくなっていた
という形で到達する人にとっては、 十分に意味のある結果になります。
これまでの記事で整理してきたように、 無理のない順番で、楽に続けられる進め方を選べば、 全類取得は決して非現実的な目標ではありません。
自分にとって必要かどうかを見極めたうえで、 納得できる形で目指すことが大切です。
乙種全類取得と甲種の違いを、受験難易度も含めて整理する
前章では、 乙種を全類取得した場合の、仕事や就職における意味について整理しました。
ここで多くの人が次に考えるのが、 「それなら甲種を取った方がいいのではないか」 という疑問です。
この章では、 乙種全類取得と甲種の違いを、 制度・実務・受験難易度の3つの視点から整理します。
取り扱える危険物の範囲は同じ
まず、誤解されやすい点から確認します。
- 乙種全類取得 第1類〜第6類すべての危険物を取り扱える
- 甲種 第1類〜第6類すべての危険物を取り扱える
この点だけを見ると、 取り扱い範囲そのものは同じです。
しかし、 資格としての役割や位置づけは大きく異なります。
最大の違いは「管理・監督ができるかどうか」
制度上の最も大きな違いは、 危険物取扱作業に対する立場です。
- 乙種 危険物を取り扱うことができる 原則として「実務担当者」の立場
- 甲種 危険物を取り扱うことができる さらに、危険物取扱作業の立会いや監督が可能
甲種は、 自分が作業できるだけでなく、 他人の作業を含めて管理・監督する責任を負える資格 という位置づけになります。
甲種は受験のハードルが高い
甲種が「上位資格」とされる理由の一つが、 受験難易度の高さです。
受験資格の制限
甲種は、 誰でも受験できる資格ではありません。
- 理系大学・高専などで指定科目を修めている
- 乙種を一定数取得している
といった 受験資格の条件 があり、 この時点で乙種よりもハードルが高くなっています。
試験内容の難易度
甲種の試験では、
- 法令
- 物理学・化学
- 性質・消火
すべての科目で、 乙種よりも深い理解が前提になります。
特に、
- 化学反応式
- 物理・化学の計算問題
- 理論的な理解を問う設問
が多く、 暗記中心の学習では対応しにくい内容です。
合格率にも明確な差がある
合格率を見ると、 乙種と甲種の難易度差はさらに明確になります。
一般的に、
- 乙種 合格率はおおむね 30〜40%前後 正しい対策をすれば、十分に合格を狙える水準
- 甲種 合格率は 20%前後、年によってはそれ以下 理解力と計算力が求められる難関試験
という傾向があります。
この差は、 単に「少し難しい」というレベルではなく、 学習の質そのものが変わる試験であることを示しています。
実務での評価の違い
実務の現場では、 次のように見られることが多いです。
- 乙種全類取得 現場対応力が高い 実務に強い資格
- 甲種 管理・監督を任せられる 責任者候補として評価されやすい
現場作業が中心の職場では、 乙種全類取得でも十分に評価されるケースがあります。
一方で、
- 危険物施設の管理
- 法令上の責任者
を求められる場合は、 甲種が必要になることが多いのが現実です。
乙種全類取得は甲種の代わりにはならない
重要な点として、 乙種全類取得は、甲種の代わりにはなりません。
理由は、
- 甲種にしか認められていない管理・監督の権限がある
- 法令上の位置づけが異なる
ためです。
ただし、
- 管理職を目指していない
- 現場で幅広く対応できれば十分
という場合は、 乙種全類取得で実務上困ることは少ないケースもあります。
どちらを目指すべきか
判断の基準は、 将来どんな立場で危険物に関わりたいかです。
- 現場で幅広く対応できる実務者になりたい → 乙種全類取得
- 管理・監督の立場を目指したい → 甲種
甲種は、 誰にとっても「上位互換」というわけではなく、 明確な目的がある人向けの資格です。
まとめ
- 乙種全類取得と甲種は制度上の役割が違う
- 取り扱い範囲は同じでも、立場と責任が異なる
- 甲種は受験資格・試験内容ともに難易度が高い
- 実務重視なら乙種全類取得でも十分な場合がある
これまで整理してきたように、 資格は「難しいものを取れば良い」というものではありません。
自分の業務内容や将来像に合った資格を選ぶことが、 一番納得のいく資格取得につながります。

乙種は制度を理解して進めれば効率よく取得できる一方で、全類取得には時間や労力だけでなく受験料や申請費用といったコストもかかるため、自分のペースや状況に合った進め方を考える必要があります。
