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「ジュラシック・ワールド」最終章/『新たなる支配者』|人間は自然を支配できるのか

恐竜が再び世界を揺るがす──。 そんな刺激的なキャッチコピーだけでは語りきれないのが『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(Dominion)』(2022年)です。

本作が描くのは、恐竜が街に現れる驚きやスリルだけではありません。 人間社会の仕組み、科学技術の倫理、そして“支配”という概念そのものが揺さぶられる世界。 シリーズが長年積み上げてきたテーマが、ここで一気に現実味を帯びて迫ってきます。

この記事では、映画の核心に触れながらも、 「なぜこの作品がシリーズの転換点なのか」 「どんな思想が物語を動かしているのか」 という視点から、作品の魅力と意義を丁寧に読み解いていきます。


『ジュラシック』シリーズ
 全体目次(総括⇒第1回〜最終章)


目次(上)

シリーズの転換点としての『Dominion』

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(Dominion)』は、シリーズ全体を通して描かれてきた問い── 「人間は自然を支配できるのか」 に対して、ひとつの結論を提示する作品です。

前作までに恐竜は島を離れ、人間社会に溶け込む存在となりました。 本作は、その“共存”が現実となった世界で、人類がどのように秩序を保とうとするのかを描きます。

ここから物語は、単なる恐竜パニックではなく、 社会全体を巻き込む思想的なドラマへと進化していきます。

作品概要

  • 公開年:2022年
  • 監督:コリン・トレボロウ
  • 主要キャスト:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン、サム・ニール、ジェフ・ゴールドブラム ほか

前作『炎の王国』から数年後。 恐竜は世界中に散らばり、人間と同じ空間で生きる存在となりました。

“Dominion(支配)”というタイトルが示すように、 本作は「誰が世界の主導権を握るのか」というテーマを軸に物語が展開します。

本作の核心テーマ:『支配』と『恐怖の構造』

支配者とは誰なのか?

本作では、支配の構造が多層的に描かれます。

  • 人間 vs 恐竜:人類は恐竜を管理できるのか
  • 国家 vs 企業:巨大企業バイオシンの影響力
  • 科学 vs 自然:遺伝子技術の暴走
  • 個人 vs 社会:メイジーの存在が象徴する倫理の揺らぎ

支配とは単純な上下関係ではなく、複数の力が絡み合う複雑な構造であることが示されます。

恐竜が象徴する“制御不能な未来”

恐竜はもはや怪物ではなく、 人類が制御できない未来の象徴として描かれます。

  • 気候変動
  • 遺伝子技術
  • 生態系の破壊
  • 企業の独占と倫理問題

現実社会が抱える問題を、恐竜という存在を通して可視化しているのが本作の特徴です。

シリーズ全体のテーマとの接続

第1作から続く「人間の傲慢」というテーマは、本作でひとつの答えに辿り着きます。 それは、“支配ではなく共存”という思想的転換です。

主要キャラクターの変化とドラマ

オーウェン:守護者から“調停者”へ

ブルーとの関係を通して、オーウェンは「恐竜を守る者」から “人間と恐竜の間をつなぐ者”へと役割が変化します。

クレア:贖罪の物語の完結

シリーズを通して罪悪感と向き合ってきたクレアは、 本作でようやく“責任を果たす存在”として描かれます。

メイジー:存在そのものが問いとなるキャラクター

彼女の出生は、科学倫理の核心に触れるテーマ。 メイジーの存在が、物語全体の“支配と自由”の議論を象徴します。

旧キャストの再集結がもたらす“歴史の回収”

アラン、エリー、イアンの3人が再び集うことで、 シリーズ30年の歴史が一本の線としてつながります。 これはファンにとって大きな感動ポイントです。

見どころ:本作が提示する“新しい恐竜映画の形”

恐竜の生態描写の深化

恐竜は単なる脅威ではなく、生態系の一部として描かれます。 そのリアリティが、作品に説得力を与えています。

アクションの方向性の変化

追いかける/追われるだけの構図から、 “共存を前提とした緊張感”へと進化。

世界規模のスケール感

島の中の出来事だったシリーズが、ついに世界全体の問題へ。 恐竜映画の枠を超えたスケールが魅力です。

本作への賛否が分かれる理由

本作はシリーズの中でも特に評価が分かれます。 その理由を整理すると、読者のモヤモヤがスッと解消されます。

  • 期待していた“恐竜パニック”とは違う方向性
  • シリーズの“終わらせ方”としての評価の難しさ
  • キャラクターの扱いに対する意見の分裂
  • 社会問題を扱うことで生まれた重さ

批判ではなく、 作品が挑戦した方向性を理解するための視点として紹介します。

シリーズ全体の中での位置づけ

『Dominion』は、シリーズの総括として重要な役割を果たします。

  • 第1作:人間の傲慢
  • 第2作:自然の反撃
  • 第3作:倫理の崩壊
  • 第4作:恐竜の再定義
  • 第5作:共存の始まり
  • 第6作:支配から共存への思想的転換

シリーズ全体を俯瞰すると、本作が“終章”として機能していることがよく分かります。

まとめ:『Dominion』が残した問い

本作は、観客にいくつもの問いを投げかけます。

  • 人間は自然を支配できるのか
  • 科学はどこまで許されるのか
  • 恐竜との共存は何を象徴しているのか
  • そして、私たちは未来をどう選ぶのか

『Dominion』は、恐竜映画という枠を超え、 現代社会そのものを映し出す鏡のような作品です。

あきえい
あきえい

旧キャストが再び揃った瞬間、胸の奥がじんわり熱くなりました。
30年近く続いてきたシリーズの歴史が、ひとつの画面に集約されるような感覚で、まるで長い旅の終わりに立ち会っているようでした。
この“再会”だけでも、本作を観る価値があると感じました。

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